王子様の危険な恋愛領域
や、やっぱり…皆辻君っ!!
無表情でジッと私を見ている姿が目に映り、体が強張った。
周りを囲んでいた女の子たちは、中庭の入り口の辺りから、こちらを見ている。
今、私の目の前に立ってるのは皆辻君だけだ。
女の子たちに“ついて来るな”とでも冷たく言ったんだろうか…。
でも、なんのために…?
「昨日は、どうも。」
頭の中で疑問符を浮かべていると、皆辻君から素っ気ない言葉が零れた。
うっ、気付かれてたのか…。
冷や汗が吹き出す中、一歩…後退りをした。
「ど、どうして…私の名前……」
「あそこにいる女から聞いた。」
チラリと中庭の入り口を見る皆辻君。
その視線を辿ると、私に向かって手を振っている亜弓ちゃんが目に飛び込んできた。
ちょ、ちょっと…!
亜弓ちゃんってば、私の名前…勝手に教えちゃダメだよ…!
心の中で叫んだけど、もう後の祭りだ。