王子様の危険な恋愛領域
「んで、どうして紗姫が無愛想王子から告白なんかされたわけ?」
「さ、さあ…私にもサッパリ…。」
皆辻君の意図が全く読めないよ…。
淳也の言葉に首を傾げると、亜弓ちゃんはニンマリと笑った。
「紗姫ってば、とぼけちゃって〜!何もないのに、王子が“付き合え”なんて言うわけないでしょ!思い当たる節、本当はあるんじゃない?」
ツンツンと人差し指で私の肩を突く亜弓ちゃん。
興味津々の表情で私の言葉を待ってるみたいだけど…
期待に添えるようなことは、何も言えない。
だって、思い当たる節なんて何も………
そう思った私の頭の中に浮かんだのは、昨日の放課後の一件だった。
何もなかった…っていうわけじゃないか。
黒岩先輩との別れ話を聞いちゃったし、皆辻君の発言にイライラして頬をひっぱたいたし………。
あっ!
ひょっとして…
あの彼女命令って、私への嫌がらせなんじゃない…!?