王子様の危険な恋愛領域
「うん、きっと…そうよ。」
ポツリと呟いた。
おそらく、女子に頬を叩かれたことなんて初めてだろうから、根に持ってるんだわ…。
それで、今日のお昼休みにたくさんの女の子たちが見ている中、故意に“付き合え”って言ったんだ…。
私が女の子たちから、冷たい視線や言葉を掛けられるのを予想した上で……。
それで、私が困惑する姿を見たかったのよ、多分。
自分なりの推理を組み立てて、コクンと頷いた。
全く、かなり性格…ひねくれてるんじゃないの?
ムカつく…。
「ねぇ、紗姫。何が“きっと…そう”なの?やっぱり、二人の間に何か素敵な出来事があったんでしょ!」
「ううん、違うの。皆辻君の言葉の裏には…恐ろしい思惑が込められてるのよ。」
「お、思惑…?」
「とにかく、皆辻君の言ったことは…本気にしないで?」
亜弓ちゃんの目を見て、真剣に訴える。
けれど、亜弓ちゃんはニコリ…と笑顔を浮かべながら、私の肩をバシッと叩いた。