王子様の危険な恋愛領域
ん…?
どういうこと??
頭の周りに並ぶハテナマーク。
自分の胸元を見ながら固まっていると、皆辻君はフッと笑った。
「さてと、話も終わったことだし、そろそろ帰るぞ。家まで送る。」
えぇっ!?
いつも一人で帰ってるし、わざわざ送ってもらう必要ないってば…!
「い、いいよ!私、一人で帰れるから………あっ!!」
丁重にお断りしようとした私だったけど、その途中…ある事を思い出し、思わず叫んでしまった。
「急に何だよ。」
「化学の追加課題、先生に提出しに行かなくちゃいけないんだった…!」
スッカリ忘れてたっ…!
これじゃあ、また説教されちゃうよ…。
「ということで、私は急ぐから!その後は一人で帰るので、ご心配なく!そ、それじゃあ…。」
私の手首から皆辻君の手を振りほどくと、逃げるようにして部屋から出る。
慌てる私を見て驚いている篠田先生に軽く礼をして、保健室から飛び出した。