王子様の危険な恋愛領域
う、うそ…。
皆辻君って、女の子に冷たい人…だったよね?
前髪が跳ねていたって、そんなの見てみぬふりしそうなのに…。
一体、どうしちゃったの…??
「よし、これでいい。」
程なくして、皆辻君の指がゆっくりと離れる。
「あ、ありがとう…。」
戸惑いながらも、ぎこちなくお礼を言うと、皆辻君は少し照れくさそうな表情を浮かべた。
「礼を言われるようなことしてねぇよ。それじゃあ、行くぞ。」
その言葉と共に、私の手を握る皆辻君。
ビックリして、思わず繋がれた手と皆辻君を交互に見た。
「えっ、この手は…何?どうして!?」
「別にいいだろ。俺たちは付き合ってんだし。」
「で、でも…あくまで“フリ”でしょ?」
「んなこと、関係ねぇ。」
皆辻君はキッパリと言って、歩き始めた。