王子様の危険な恋愛領域

う、うそ…。


皆辻君って、女の子に冷たい人…だったよね?


前髪が跳ねていたって、そんなの見てみぬふりしそうなのに…。


一体、どうしちゃったの…??


「よし、これでいい。」


程なくして、皆辻君の指がゆっくりと離れる。


「あ、ありがとう…。」


戸惑いながらも、ぎこちなくお礼を言うと、皆辻君は少し照れくさそうな表情を浮かべた。


「礼を言われるようなことしてねぇよ。それじゃあ、行くぞ。」


その言葉と共に、私の手を握る皆辻君。


ビックリして、思わず繋がれた手と皆辻君を交互に見た。


「えっ、この手は…何?どうして!?」


「別にいいだろ。俺たちは付き合ってんだし。」


「で、でも…あくまで“フリ”でしょ?」


「んなこと、関係ねぇ。」


皆辻君はキッパリと言って、歩き始めた。



< 63 / 295 >

この作品をシェア

pagetop