王子様の危険な恋愛領域

「お前、俺の名前…知らねぇの？」


「えっ？」


予想外の言葉に瞬きを繰り返す。


「知ってるけど、それが…どうかしたの？」


どうして急にそんなこと聞くんだろう…？


不思議に思いながら首を傾げた。


「紗姫が俺のこと、“アンタ”とか“あなた”って呼ぶから。」


「ああ、なるほど。」


そう言えば、皆辻君本人に対して名前で呼んだことは無かったっけ…。


特に意識してたわけじゃないから、指摘されるまで気付かなかった…。


「俺の名前、知ってるなら言ってみろよ。」


「えっと、皆辻 光琉くん…でしょ？」


疑わなくたって、ちゃんと名前ぐらい知ってるわよ…。


学校で“超”がつくほど有名人なんだから…。


少しムッとしながら名前を呼ぶと、皆辻君は私に顔を近付けた。