王子様の危険な恋愛領域
「知ってるんだったら、今から“光琉”って呼べ。」
「ど、どうして?呼び方なんて…何だっていいじゃない…。」
「よくねぇ。傍から見れば、俺と紗姫は付き合ってることになってんだから、よそよそしく呼ばれると、すげぇ不自然なんだよ。」
そ、それは…そうかもしれないけど…。
「急に名前で呼ぶのは抵抗が……」
「いいから、呼んでみろよ。呼べば、そのうちに慣れる。」
真っ直ぐ見つめる皆辻君の瞳に私が映る。
近すぎる距離に後退りをしようとしたけれど、それを妨げるようにグイッと引き寄せられてしまった。
「紗姫、早く呼べ。そうしねぇと、いつまで経っても学校に行けねぇぞ?」
無理やりにも程があるよ…!
だ、だけど…このまま黙っていたら遅刻しちゃう。
こうなったら、思いきって呼ぶしかないよね…。
私は、仕方なく口を開いた。
「ひ、光琉…。」