王子様の危険な恋愛領域
女の子たちから“王子”って言われてモテるのに、何よ…その冷たい態度は!
…なんて、不満に感じてたんだけど、光琉は光琉で色々と大変なこともあるんだ…。
無愛想になるのも無理ないか…って、少しだけ感じてしまう私がいた。
「もしかして、俺に同情してくれた?」
「ま、まあ…ちょっとだけ。でも、そんなファンの暗黙のルールなんて、よく知ってるね。」
「クラスの男子で、そういう事情に詳しい奴がいるから、ソイツに聞いた。」
そ、そんな人もいるのか…。
苦笑いしていると、光琉は私を連れて保健室の中に入る。
篠田先生は不在らしく、誰もいなくて静かだった。
光琉が真っ直ぐ向かうのは、隣の部屋。
部屋の前まで来て、ドアを開けようとしたけれど…
「ん?開かねぇ。」
どうやら、鍵がかかってるみたいだ。
「部屋に入れないなら仕方ないね…。それじゃあ、私は教室に戻って、お昼を……」
さっさと帰ろうとする私を、光琉は引き留めた。