王子様の危険な恋愛領域
「あの、さっきから直球とか変化球って言ってるけど、なんで急に野球の話に変わってるの…?」
訊ねた途端、優貴君は可笑しそうに笑いだす。
「野球か…。紗姫ちゃん、すげぇ面白い…。」
「な?鈍感だろ…?」
「確かに。これから、光琉…苦労しそうだな…。」
「ああ。」
苦笑する光琉と、笑いが止まらない様子の優貴君に、私の頭の中では疑問符が増える一方だ。
なんで、笑ってるの?
私、別に変なこと…言ってないと思うんだけど。
不満に感じながら、二人に冷ややかな視線を向けた。
「さてと、邪魔しちゃ悪いから、そろそろ俺は退散するよ。またね、紗姫ちゃん。」
「えっ、う…うん。」
ヒラヒラと私たちに手を振った優貴君。
足早に部屋を出て行ってしまった。