王子様の危険な恋愛領域
「えっ、わざわざ付き合ってもらうのは悪いよ!勉強、時間かかるし…。」
「構わねぇよ。それに、紗姫は俺の女なんだから、悪いとか…思ったりすんな。」
「で、でも……」
「ほら、行くぞ。図書室じゃなくて、避難部屋に。その方が静かで勉強に集中出来るだろうから。」
う、うそっ…!?
なんで、帰らないのよ!
せっかく、いいアイデアだと思ったのに…。
女の子たちの視線を浴びながら、私の手を引いて廊下を歩いて行く光琉。
予期せぬ展開に、私はガックリと肩を落とす。
どよーん…と沈んだ気持ちで避難部屋までやって来ると、溜め息と共にソファーに座った。
「お前、溜め息までつくなんて、よっぽど小テストが憂鬱なんだな。」
それもあるけど、光琉に勉強を付き合ってもらうことや、その後…一緒に帰らないといけないことの方が憂鬱だよ……。
苦笑いしながら、テーブルの上に化学のテキストやノートを出した。