王子様の危険な恋愛領域
絡まる視線。
突然のことで目を見開いている私に、光琉は顔を近付けてきた。
「これも、本当の俺。」
「えっ…」
「ただし、紗姫にしか見せねぇ素顔だけどな。」
「わ、私にだけ…?」
「そう、お前だけ。」
コツン…とくっついた、お互いのおでこ。
重なる体温にピクッと肩が上がる。
光琉は私を真っ直ぐ見つめながら、柔らかい笑みを浮かべた。
「俺の中で、紗姫は特別になっちまったんだよ。だから、他の女たちとは態度が違って当たり前。」
「と、特別って何が?私…自分で言うのもなんだけど、至って普通というか、平凡な女子だと思うけど…。」
思ったことを率直に伝えると、光琉からフッと笑い声が零れた。
「やっぱり、鈍感。」
「は、はい?」
「ほんと、面白いヤツ。」
私の顎に添えていた手を離して、近付けていた顔もスッと離した光琉。
なんだか嬉しそう…。
でも、どうして?
疑問符を浮かべながら、首を傾げた。