王子様の危険な恋愛領域

その後、テスト勉強を開始した私。


正直…分からないところだらけの化学なんだけど…


その都度、光琉が隣で教えてくれた。


光琉の教え方は、意外にも…丁寧ですごく分かりやすい。


先生も、こんな風に授業で説明してくれたらいいのに…なんて、思わず感じてしまったほど。


おかげで、テスト勉強もはかどり、1時間ほどで終わらせることが出来た。


もし、一人でやっていたら…倍以上の時間が掛かっていただろうし、イマイチ理解出来ないままだったかもしれない。


光琉のことは嫌いだけど、勉強を教えてもらったことに対しては、感謝しなくちゃ…だよね。


放課後の貴重な時間を、私なんかの勉強に付き合わせちゃったんだから…。


「あ、あの…光琉。」


「何だよ。」


「えっと、勉強…教えてくれてありがとう…。」


小さい声でぎこちなく呟く。


すると、光琉はフイッと私から視線を逸らした。



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