Samsara
「昔って…」
「百三十年前。
私の最愛の人は…リーゼルです。」
「え…」
「あの時の貴方も、言っていた。
『死ぬなら、最愛の人に 殺されたい。』と。
でも、それは 叶わなかった。
あの人は…あの爆発の後、
自分の身体を 何度も 何度も 刃物で傷つけた。」
「それって…自殺…?」
「…そうなりますね。」
「でも! さっき 貴方は…っ
リーゼルは 神により消滅された、って 言ってたじゃない!」
「…天使は、死なない。
だから、リーゼルは 自殺未遂という事になる。
そんな自殺未遂をして傷だらけのリーゼルを
神は消滅させたんです。」
「そうだとしたら…
貴方が、リーゼルの事を 憎いと思う理由なんか無いじゃない!」
「リーゼルは、私にとって、凄く大切な存在だった。
…だけど。
人生、最初で最後の死への導きを…
あの神に 捕られてしまった。
貴方も よく耳にするでしょう?
『憎いほど、愛してる』と言う、言葉。」