Samsara
…そして。
彼女が、一番 気にしていた事。
「死神の貴方に、こんな事 言ってはいけない。
と、思ってますけど…」
彼女は、息を飲む。
死神は、黙って それを聞いていた。
「死神じゃなくて…
神様みたいですね。」
「……」
予測もしていなかった
リーゼルの言葉に対し、
死神は 言葉を失った。
「死神って、もっと…
俺様的な、凶悪かと 思っていました…」
「……」
死神は、黙って それを 聞く。
「でも、あたしが 今 出逢った 死神…
いえ、貴方は 違った。
あたしに優しい言葉をかけてくれた。
…例え、お世辞だとしても。」
「お世辞なんかじゃ、ありませんよ。
本当の事です。
リーゼル、という名前は 素敵だ。」
「…知っていますよね?
リーゼル、と言う名前が…
不幸を呼ぶ名前、なんだって。」
「もちろん、知ってますよ。」