危険BOY'Sにキスをして。
え?
エリ、ちゃん?
「は…?」
放心状態になった、あたしに
隣のイツキは、小さな声をかけてきた。
「お前、名前なんだっけ…?」
「絵梨だけど…」
あたしは、黒峰の方を見た。
「…♪」
そいつは。
黒い微笑みを 返してきた。
…待てよ?
絵梨ちゃん、という幼馴染?
幼馴染…?
違う。
あたしじゃないじゃん。
「黒峰」 とかいう苗字の友達なんか、小さい頃 居なかったし。
あんな腹黒い男に逢ったのも、初めてだし。
そもそも「エリ」っていう名前の子は、この日本に何百人もいるわけであって。
あたしじゃない。
あたしは、不思議なことに…
安心したような、
ちょっとショックしたような、
複雑な気持ちになっていた…。