危険BOY'Sにキスをして。

「ぁ、ごめんね?愛しい彼氏の前で。」

「……」


返事をする気力さえ、失っていた。

好きな人に…
見られた。

この悪魔の黒峰が
突然やってきたことだとしても
見られてしまったことには変わりはない。

…見られたくない場を。


「イツ「呼ぶな。」…。」

イツキは、怒ったような声だった。


「お前が誰とキスしようが関係ねェって。」

ぇ…?

貴方と両想いだと知ったのは
つい、さっき…
3時間前の昼休みだよ?

なのに…
関係ねェ、だって?


「イツキは、さ…
 あたしが 誰とキスしようが、構わないの?」

こんな質問…
自意識過剰かもしれない。

…でも。

「俺らは只、付き合ってるだけだ。」

なにが、言いたいの…?


「キスなんか、誰とでも出来るだろ?
 カップル同士じゃなくても、出来るだろーが 。」

あたしには、
イツキが言いたいことも
意味も分からないよ…。

「だから、お前と生徒会長様がキスしたって、
 彼氏の俺にとっちゃ、どーでも良いって事。 」

「……」

ショックだった。

あたしは、イツキと桜井さんの話で、
泣きそうなくらい辛かったのに。

あたし自身は、嫉妬心の塊なのかな…?

イツキのような考えが、正しい答えなの?


「じゃあ、また明日。」

イツキは、そう言い残すと
ピシャリ。 と ドアの音をたて、生徒会室を出て行った。

…また、明日?

あたしには…
明日、という日が 来るのだろうか?


今まで恋愛というものが、
こんなに 辛いものだって知らなかった。

前に、友人が「彼氏と別れた」と 泣いていた。
口には 出さなかったけど…
「だったら、付き合わなければ良いのに。」
その時のあたしは、そう思っていた。


…でも。
そんな事は、出来ないんだ。

好きになる、っていう気持ちは…
誰にも 止められない。
好きになったら、触れ合いたい。
この気持ちだけが、脳内を駆け巡る。

恋愛初心者のあたしは、今頃それを知った。


イツキの事が好き、という自分自身の恋心も…
今まで、気付いていなかった。

こんな あたし、だから?
こんな あたし、だから…

イツキの本当の気持ちが分からないの?
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