危険BOY'Sにキスをして。

歌手デビュー?

「モデル活動しかしない!」って、言ってた…
あのイツキ、が?


「昨日…芸能番組 見てたら、
 “大人気モデル・歌手デビュー”って言ってたから、びっくりしたの!」

大人気モデル…。

「昨日いきなり、 歌手デビューする、って決めたそうね?
  櫻井くん…なにか、あったの?」

「……」

イツキは、黙っていた。


桜井さんは、と言うと…

「理由は、気になっちゃうけど…
  私ずっとずっと応援してるからね!」

両手を 胸の前でグーにして、言っていた。

可愛く 言ったつもり?

そりゃ桜井さんは…
美人で 可愛いかもしれない。

…だけど。

今のあたしにとって、脳内の苛つきを増すものに過ぎなかった。
男の前で可愛くぶりっこする子が大嫌いだから。


「…帰るわ。」
「ぇ?」

イツキは

「今日、朝から 仕事だったんだ。 色々あったから、忘れてた。」

…と言い、席を立ちあがった。


「お仕事、頑張ってね!」
「ぁぁ。お前も頑張れよ?桜井。」

あたし、は?

あたしが、何も言っていないから…
何も言ってくれないの?

彼女に、一言。
言ってくれたって、良いじゃない…。

やっぱり貴方は、あたしのことなんか…

「…キスズ。
 生徒会、俺の分も ヨロシクな。」

…やっぱり、分からない。

ただ分かるのは、この気持ちだけ。

何を言われよう、と
何をされよう、と
あたしは…

イツキの事が 好きなんだ、ってこと。
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