危険BOY'Sにキスをして。

「3年の英語を担当する、桜井だ。
 みんな、1年間 宜しくな。」

1時間目の英語の授業が始まった。

つーか…
英語担当、担任だし!

昨日挨拶してたんだから、 また挨拶なんかしなくて良いでしょ!?
時間の無駄に、過ぎないと思うんだけど!

「俺は、この学校に初めて来たから 生徒の名前をよく知らない。
  …というわけで、今日の英語の時間は、自己紹介をやってもらう。」

…名簿見て、覚えろよ。

あたしらは、今年 受験生なんだよ!?
時間を無駄にしたくない、っつーの!

「じゃあ、まず… 端っこの席の、加賀からー。」

次々に… 名前と特技を、言っていく。

ってか、何で特技 言わなきゃいけないの?

特技なんか、あたし…
1つも無いんだけど。

「次、李鈴。」
「は?」

あたしは、間抜けな声を出したと思う。

「なに、ボケっとしてんだ。
  時間が無くなる、早くしろ。」

時間が無いなら、しなきゃいいのに。
確かに、あたしは 今… ボケっ、としてたけど。
自己紹介で、 あたしの一つ前の 黒峰の自己紹介すら 聞いてなかったもの。

…それよりも。
苗字を間違えずに、読めたとは! 桜井先生、凄い!!
簡単な苗字なら誰もが読めるが、あたしの苗字は珍しいから読み間違えが多い。
だから、普段なら「凄い」と思わないはずの 苗字の読み方も 「凄い」と感じてしまうのだ。

「李鈴絵梨です。 特技は…」

何だろう?
特技、無いんだってば…!!

「特技は、ありませ」
「何か言え。」
「……」

無理なこと言うなよ。
無いもんは、無いんだから!

「えっと…」

適当、で良いや。

「ラテアートです。」
「へー。じゃあ次の瀬田ー」
「……」

え、なんかショックなんだけど。
訊かれたから答えたのに無反応ってなんなわけ。
先生としてその態度おかしいよね?
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