危険BOY'Sにキスをして。

…と、思っていたのだが。

「見ちゃった♪」

「優子!?」

屋上の扉のある壁のところに、
デジカメを持った優子が居た。


「生徒会長が無理矢理した、
 って感じだったけど…大丈夫?」

「…っ…」

優子に、心配なんかされたくなかった。


「貴方も意外に、男子にモテるのね?」

クスクスと笑いながら言う優子に対し、
あたしは、少し低く…
冷たい声で 返事をした。

「…だから?」

それに 対し、優子は…

「許さない♪」

再び、笑顔で 返してきた。


「貴女みたいな可愛くもない子が…
 チヤホヤされているのを見て、こっちは ムカついちゃうのよ。」

「だったら見なければ良いじゃない。」

「…っな、何様よ!
 私が優しく“忠告”したのにも関わらず!」

「忠告?それは、イツキの事を言ってるんでし ょ?
 アイツ…ヨウには、関係無いことじゃないの ?」

「忠告は、櫻井くんの事を言ったけど!
 貴女みたいな不細工が…っチヤホヤされるのがムカつく、って言ってるの!」

不細工?
チヤホヤされるのが ムカつく?

…ああ、そうか。

優子も…
「嫉妬?」

「な…っ、貴女相手に嫉妬なんかしないわ!
 あたしの忠告したのを無視して どうなるか思い知らせてやる、って 言ってるのよ!」

…だから、忠告は イツキの事を 言ってるんでしょ?

優子の言ってること…
前後が、明らかに 矛盾してるし。


「貴女が どうなるか、なんて
  私の知った事じゃないわ。」

「ぁ、そう。で?」

「櫻井くんが 次に学校に来たとき…
  覚えておきなさいね?」

優子は再びクスクスと笑いながら、
屋上から、去って行った。

「負け犬が 逃げる時の…
      台詞じゃん。」

春風の吹く
午後の屋上。

そこには、
あたしの声だけが響いていた…。
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