Hair cuts
冬休みに入る前、なんとなく浩人の浮気話をほのめかしたとき、さくらはまるで自分のことのように傷つき、怒った。あたしとしては別に浩人を責めるつもりも、まして、さくらが言うように遊里に諭してもらう気も無かったから、結局、(このことは二人だけの秘密にして。さくらの胸の中にとどめておいて)と念を押して話は終わったのだけれど、さくらは必死にあたしを慰めてくれた。

(もし、どうしても我慢できなくなったら、いつでも言うんだよ。私たち、親友なんだから)と。

あたしは幸福のあまり涙ぐみそうになった。あたしのほうはそう思っていたけれど、それはもしかしたらただの思い上がりで、さくらはそんな風に思っていないんじゃないかってずっと気になっていたから。
けど、違った。さくらもあたしを親友だと言った。たまらなく嬉しかった。

人付き合いがうまく、交友関係が広くて、高校時代の友人とも頻繁に連絡を取り合っているさくらが、あたしを親友だと認めてくれたことが信じられなかった。

あたしにはさくらしかいないけれど、さくらにはあたし以外にもたくさん友達がいる。今だって、冬休みを利用して、オーストラリアへ遊びに行っている。向こうの大学へ進学した友達に会いに。

浩人が他の女の子と寝るのは我慢できるのに、さくらが女友達と遊ぶのは我慢できない。嫉妬で、胸が苦しくなる。これって、おかしいのだろうか?
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