Hair cuts
「ウィーアーヘアカッツ」

「え?」

「ん…」

「浩人?」

ううんと唸って、浩人がこちらを向き、またあたしの体に手足を絡ませる。浩人の瞼はひくひくと痙攣し、口元にはうっすらと笑みを浮かべていた。

なんだ、寝言か。

おかしさが込み上げて、声を殺して笑った。なぜか、目尻に涙が伝った。

浩人と遊里は親友で、あたしとさくらも親友で、浩人とあたしは恋人同士で、さくらと遊里も恋人同士だから、きっとあたしたちはうまくいく。これからも、ずっと仲間でいられる。大丈夫。

あたしは呪文のように繰り返しながら眠りに落ちた。

閉じた瞼の裏側にいつまでも白い雪の残像が残って消えなかった。
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