Hair cuts
第三章

さくら・遊里三十歳

外が明るくなっていた。ノートを握り締めたまま、私は昨日からずっと座り続けている。思い出が、時を越えて洪水のように溢れてとまらなかった。

私たちはいつも一緒だった。学校、放課後、休日。まるで四人で過ごすのか暗黙の了解であるかのように、ぴったりと寄り添っていた日々。美容学校一年目の年。

よくあれほど話すことがあったものだと感心するほど、四人集まれば話がつきなかった。特に、浩人と愛華はこちらがあきれるほど仲がよく、べったりで、そのくせ、私たちといたがるものだから、私や遊里は二人きりになる時間がまるでなく、やきもきしたものだ。

でも、不思議と、二人と距離を置こうとは思わなかった。二人きりで会っていても、どちらともなく、せっかくだからあいつらにも声をかけようかという風になって、最終的には四人でいる。「hair cuts」の集いと、浩人は言っていたけれど、あの頃私たちは、ただの美容学生で、免許もなく、それなのにそんな風に言うのがおこがましいような気がして、私は恥ずかしかった。
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