Hair cuts
「最低だな」

遊里が諦めたように笑った。

「どうして私が最低なの?」

さすがに腹が立った。確かに愛華には申し訳ないと思うけれど、それでも、遊里に最低呼ばわりされる筋合いはないというのが本音だった。

「最低だろ。親友が死んでも、お前、少しも動揺していない」

「動揺してる!だからこうして遊里に電話したんじゃない。何があったか知りたくて」

「知ってどうするんだよ、今さら」

「だったら、どうしてわざわざあんなもの送ってきたのよ!」

どんと、隣の部屋の住人に壁をけられて我に返った。興奮した私は随分と大きな声を出していたらしい。こんな風に遊里と言い争うのはこれが二度目だ。一度目は、愛華の結婚式の後、私たちが別れた日。
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