Hair cuts
「そりゃあ、今日の二人を見ていたら結婚も悪くないと思うけど」

「けど、なんだよ?」

「私、しばらくこっちへ帰ってくるつもりはない。むしろ、帰ってこないかもしれないから」

遊里がびっくりした顔で私を見つめ、

「それじゃ、俺たち、どうなるんだよ…」

と、声を震わせた。酔いはすっかり覚めていた。

「それは、わからない」

「わからないって、どういう意味だよ!さくら、いつか帰ってくるって約束したろ?浩人や愛華だって、さくらが帰ってくるの楽しみに…」

「そういうの、いやなの!重いの!」

浩人の言葉を遮って、私は声を荒げた。

「いつも一緒、四人は仲間って、いつまでもそうやってつるんでるわけにはいかないじゃない!それぞれ、生活があるんだよ。進んだ道が違うんだよ。なのに、口を開けば三人して、いつ帰ってくるって、そればっかり。仲間なら、私のことを応援しようって気持になってくれたっていいじゃない!」

「さくら、お前、ずっとそんな風に思ってたのかよ」

信じられないという風に遊里が頭を振った。まるで知らない人を見ているような目で私を眺めている。
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