Hair cuts
「ねぇ、遊里。愛華が苦しんでいたのは、私のせいなの?」

私が、あの日、あんなことを言ったから。私さえ感情を押し殺していれば、愛華は苦しまずにすんだのだろうか?

「違う…」

「なら、どうして。あの二人に一体何があったの?」

最後まで二人の側にいた遊里なら本当のわけを知っているはずだった。愛華は何に苦しんでいたのか。浩人が変わってしまったのはなぜなのか。なぜ、浩人が愛華を殺したのか。

「浩人が愛華を殺したのは、俺のせいだ」

「何、言ってるの」

「俺は…」

電話の向こうからすすり泣きが聞こえ、やがてそれは男泣きに変わった。まるで子供みたいに泣く遊里が落ち着くのを辛抱強く待ちながら、私はどうにか遊里を慰めようとしたけれどちょうど言い言葉が見つからなかった。しばらくすると遊里の泣き声は小さくなりやがて、ゆっくりと話し始めた。

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