Hair cuts
さくら十九歳・春
「就職先は東京にしようと思う」
そう告げると、愛華の顔からは見る見る笑顔が引いた。
「どうして、だって、就職は県内にするって、さくら言ってたじゃん!」
「うん。そのつもりだったんだけど…」
「いや、行かないでさくら、お願い!」
食べかけの菓子パンを机に置いて、愛華があたしに抱きつく。毛先だけくるんと巻いた髪の毛からココナッツのようなシャンプーの香りがした。
「ちょっと、待ってよ。まだ内定貰ったわけでもないし、その前に国家試験にだって合格していないんだから。あくまでも希望だよ、希望」
鼻まですすり上げる愛華に、私は慌てた。
そう告げると、愛華の顔からは見る見る笑顔が引いた。
「どうして、だって、就職は県内にするって、さくら言ってたじゃん!」
「うん。そのつもりだったんだけど…」
「いや、行かないでさくら、お願い!」
食べかけの菓子パンを机に置いて、愛華があたしに抱きつく。毛先だけくるんと巻いた髪の毛からココナッツのようなシャンプーの香りがした。
「ちょっと、待ってよ。まだ内定貰ったわけでもないし、その前に国家試験にだって合格していないんだから。あくまでも希望だよ、希望」
鼻まですすり上げる愛華に、私は慌てた。