Hair cuts
「本当に確定じゃないのね?」

「う、うん」

「嘘ついてない?」

「当たり前でしょう」

本当の本当?と繰り返しながら、愛華が顔を上げた。目の周りがううすらと赤らんでいる。愛華は再びパンに手を伸ばすと、一口齧り、思いつめた表情のまま咀嚼した。

「遊里には、言ったの?」

「ん…、まぁ、それとなく」

「遊里、なんだって!」

「いや、特に」

「んもう!何で止めてくれないのよ」

じれったそうに愛華が足を踏み鳴らした。

「まあまあ、あくまでもそういう選択肢もありかなってくらいだからさ。大げさにとらえないでよ。それより、次ぎの時間小テスト。」

食欲をなくしたといってパンをしまいかけた愛華を宥め、どうにか話を切替えたものの、それは、自分の中で、ほぼ決まりかけていたことだった。
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