Hair cuts
そのことは、それとなくだけれど遊里にも話した事がある。

遊里は「さくらが上京するなら俺も一緒に行こうかな」と言ってくれた。

それも悪くないと思った。一人きりよりは心強いし、何より、私は遊里が好きだったから。

大場先生に相談すると、夏に東京から経営者が出向いて就職説明会を開いてくれるので参加すればいいと教えてくれた。田舎から来た子は簡単に帰れない分根性があっていいと、なかなか評判がいいらしい。大場先生は私の東京行きに大賛成してくれた。

「やだ、さくらが変なこと言うから、ちっとも頭に入らない」

関係法規の教科書から顔を覗かせると、愛華が頬をぷっち膨らませた。

「あたしたち四人はずっと一緒じゃなくちゃいけないんだから」

このとき私は上手く笑えたのだろうか?
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