Hair cuts
専門学生になって二度目の春の桜祭りには四人で訪れた。

作業着のまま来たので、みんな同じ服装をしている。少し前に、浩人が髪の毛を紫色に変えた。だからみんなで「欲求不満なんじゃない?」とからかった。それから、去年の出来事を思い出し、また浩人をからかった。散々からかわれると、「でも結果オーライじゃん!ウィーアーヘアカッツ」と浩人が苦し紛れに叫び、私たちは呆れ、笑った。

「でもさ、今年も四人で来れてよかったよな」

浩人の言葉にみんな頷いた。まるで去年の出来事が昨日のように甦る。甘酸っぱいりんご飴の味、突然現われた浩人と遊里に戸惑ったこと、車の中で聞いたカーペンターズ。全てが懐かしい。

こうして、なんてことない過去が大切な思い出に変わっていくのだと思うと切なくなった。いつか今日の日のことも懐かしくも切ない思い出として記憶から溢れる日がくるのだろうか?
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