Hair cuts
さくらぁ、俺達、離れてもうまくやれるよな?

当たり前でしょう

大丈夫だよな?

そうだと言っているじゃないの

さくらぁ

俺はこの段階ですでに、さくらとはずっと一緒にいられないことをどこかで悟っていたのだろう。

抱き合うたびに、離れるな、離さない、大丈夫だ、上手くやれると繰り返したのは、そういう不吉な暗示を打ち消そうとしたからだ。


その夏、俺は美容学生を対象とした技術大会の県大会で入賞した。リビングに飾ってあった、兄貴の輝かしい功績はいつの間にかなくなっていて、代わりに、俺が人生で初めてもらった賞状がそこにぽつんと一つ、やたら立派な額に入れられて飾られた。
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