Hair cuts
目を瞑り、私は最後に四人で集まった日のことを思い出した。

それは、七年前の浩人と愛華の披露宴。その日の愛華はいつにまして綺麗で、いつもお調子者の浩人は少し緊張していた。見詰め合う二人は本当に幸福そうで、私はちょっとだけ嫉妬した。

「次はさくらと遊里の番よ」

そう言って、愛華は私にブーケ投げてよこした。遊里は、ブーケを胸に抱いた私をじっと見つめていた。その目は「お前はどうしたいんだ?」そう、問いかけていた。私は、その視線に気づかないふりをした。それが、私の答えだった。以来、四人が揃ったことは一度もない。

日々の忙しさに追われていたせいもある。でもそれよりも、私は、幸せな浩人と愛華の結婚生活を目の当たりにするのが辛かったのだ。二人が結婚することによって、いよいよ私は彼らから逃れられないのだと少し恐くもなった。

私は少しずつ彼らから離れていった。もう子供じゃない。いつまでも学生気分のままではいられなのだと自分に言い聞かせながら、結局のところ、私は彼らを拒絶したのだ。私は卑怯な裏切り者だ。
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