Hair cuts
私の住む町から電車で二つ目の市にある美容学校は小さく、そして新しかった。外壁が薄桃色で線路のすぐ側に立っていた。創立二年目で歴史も浅かった。クラスは美容かと理容科の二クラスしかなく、男女比は半々ぐらいだった。

入学式はホテルで行なわれた。入学式の日、私は自分の真面目すぎる服装を後悔した。私は黒のパンツスーツ姿で、薄くお化粧をし、髪の毛をきっちりとお団子に結い上げていたのだけれど、ほとんどの子が思い思いの服装をし、髪の毛を派手な色に染めていたからだ。しまったと思った。そうだ、ここは美容学校なのだ。私は少し前まで通っていたカトリック系の女子校特有の厳しい校則に囚われたままだった。

入学式の最中、特に目立つ男の子がいた。その男の子は、限りなく白に近い金髪の髪の毛をホストみたいにセットし、スーツをだらしなく着崩していた。手足が長く、背がすらりと高かった。校長先生が挨拶している最中も、担任の紹介をしている時も少しも黙っていなかった。それで、式が終わると、さっそく一人だけ呼ばれ注意を受けていた。それでもへらへらしているだけだった。

私は、その自由気ままなというよりは、どこかいい気になった彼の態度が気になってずっと目で追っていた。正直、幼稚でくだらないと軽蔑すらしていた。白金の彼は、説教が終わると、やれやれというように方をすくめ、それから彼と同じくらい背の高い赤い髪の毛の男の子とじゃれあいながら会場を出て行った。同じ高校出身なのかもしれないと思った。それくらい二人の男の子は砕けていた。
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