Hair cuts
翌日の登校初日、私は、メイクにも髪型にも服装にも気合を入れた。昨日の教訓から、帰宅するや否や、母に髪の毛を明るい茶色に染めてもらい、コテでくるくると巻いた。メイクもきつくし、つけ睫毛を乗せた。服は体にぴったりとしたワンピース。出掛けに、父が「まるで水商売の女じゃないか」と眉を潜めたが、そんなことより、クラスメートに引けをとらないことのほうが重要だった。

教室は、少しの緊張感と個々の個性がぶつかりあって、妙に活気付いて色めきたっていた。私が自分の名前の張られた机に座るやいなや、愛華が泣き出しそうな顔で駆け寄ってきた。

「よかった、さくらが来るまで、あたし、どうしていいかわからなかった」

「そんな、大げさな」

そう言いながら、私も逆の立場だったら身の置き所がなかっただろうと思った。昨日、愛華とは夜寝るまでメールした。私と同じく、愛華も同じ高校からこの学校へ進学した人も知り合いもいないのだ。
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