Hair cuts
しばらくすると、担任の先生がやって来た。四十代初め頃の女の先生で、大場久美先生と言った。大場先生は小柄でにこにこした声の大きな人だった。

「それでは今日はみなさんに学校内の見学と…」

先生の挨拶が終わり、今日することの説明をしている最中に、突然がらがらと教室のドアが開いた。

「おはよーございまーす!」

遅れたのを悪びれる風もなく、大声で言ったのは昨日の白金君だった。その後ろには、大きな体を縮めるようにして立つ赤髪君。

「遅刻!」

大場先生は、出席簿で軽く白金君の頭を叩いた。それから、白金君の後ろで恥ずかしそうに俯く赤髪君のことも。

「いってぇ。登校初日でびくびくしてる新入を生殴ることないじゃないですかぁ」

白金君が言うと、教室中が笑いの渦に包まれた。

「あんたの態度はこの学校にもう何年も通った人みたいにでかいったら。入学式早々叱られるなんてこの学校始まって以来よ。と言っても、創立二年目だけど」

大場先生が言うと、

「まさか!だって、こんなに緊張してるのに?」

と白金君が言い、また笑いが起こる。大場先生も一緒に笑っていた。

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