Hair cuts
「じゃあ、遅刻した罰として、自己紹介と遅刻した理由をみんなの前でどうぞ」

大場先生の粋な提案に、拍手が沸き起こった。二人は、「うわ、まじか?」「最悪」と言いながらもしぶしぶ教壇へ立った。

まずは白金君が、

「H高校出身、竹中浩人(たけなかひろと)です。昨日あまりに緊張して眠れず朝寝坊しました」

続いて赤髪君が、

「同じくH高校出身の平田遊里(ひらたゆうり)です。こいつが寝坊して、待たされたので遅刻しました」

教室からは拍手やブーイングやからかう声が一斉に起こった。私と愛華も、すっかり緊張が解けていた。

白金君は浩人。赤髪君は遊里。

私は彼らの名前を頭の中で反芻した。規則の厳しい女子高出身の私にとって、彼らのような、やんちゃで不真面目な男の子の存在は新鮮だった。

けど、まさか、のちに彼らが私と愛華にとって大切な人になるとはこの時は思いもしなかったけれど。
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