Hair cuts
俺たち兄弟は両親からたっぷりの愛情と熱い期待を差負わされ育ってきた。親の期待通りに兄貴は大学へ進み、親の期待を裏切って俺は美容師の道を志している。
優秀で賢い兄と甘ったれでバカな弟。
まったくありきたりな話なのだけれど、俺は頭が悪くて、ついでに要領も悪くて、中学へ入ったあたりから少しずつぐれ始めた。といっても学校へはきちんと行っていたし、補導された経験も一度も無いのだが、おちこぼれで、浩人のような不真面目な友達を持つことは、教師の親父に言わせれば立派な不良なんだそうだ。
不良品の不良。
そういう意味なんだと最近は解釈している。
その後は坂道を転がり落ちるみたいに親父との関係がどんどん悪化した。まず、進学したのが偏差値の低いH高校だということが親父の逆鱗に触れた。でも、バカな俺が進学できそうなのはH高校しかなかったのだから仕方ない。その上、高校卒業後は法律だかなんだかの専門学校へ進んで公務員試験を目指せという親父の助言にそむいて美容学校へ進んだものだから完全に見放されてしまった。フリーターになるよりはいいじゃないと母が説得してくれてどうにか許可はでたものの、入学直前に髪の毛を赤く染めたのを見て、親父は「ふん、お似合いだな」と皮肉を言ったものだ。
優秀で賢い兄と甘ったれでバカな弟。
まったくありきたりな話なのだけれど、俺は頭が悪くて、ついでに要領も悪くて、中学へ入ったあたりから少しずつぐれ始めた。といっても学校へはきちんと行っていたし、補導された経験も一度も無いのだが、おちこぼれで、浩人のような不真面目な友達を持つことは、教師の親父に言わせれば立派な不良なんだそうだ。
不良品の不良。
そういう意味なんだと最近は解釈している。
その後は坂道を転がり落ちるみたいに親父との関係がどんどん悪化した。まず、進学したのが偏差値の低いH高校だということが親父の逆鱗に触れた。でも、バカな俺が進学できそうなのはH高校しかなかったのだから仕方ない。その上、高校卒業後は法律だかなんだかの専門学校へ進んで公務員試験を目指せという親父の助言にそむいて美容学校へ進んだものだから完全に見放されてしまった。フリーターになるよりはいいじゃないと母が説得してくれてどうにか許可はでたものの、入学直前に髪の毛を赤く染めたのを見て、親父は「ふん、お似合いだな」と皮肉を言ったものだ。