Hair cuts
「遊里と俺はさ、好みのタイプが似てるから仕方ないんだよ」

なんだよ、そのいいわけ。わけわかんねぇ。でも俺は、

「そうかもな」

と笑っていた。

「本当に悪かったよ。なぁ、遊里。たかが女のことで友達やめるとか言うなよ」

浩人は今にも泣き出しそうな声を出した。実際、目はうるうるとしていた。

「いわねぇよ」

「まじ?許してくれんの?」

浩人の目から涙がこぼれた。泣くくらいなら他人の女に手を出すなよと言ってやりたかったが、ひどい傷を負いイケメン台無しの浩人の顔を見たら、これ以上責めるのも酷だという気がしてやめた。

「ところで遊里。まだ俺の事なぐるつもり?だったら、顔意外にしてな」

再び両手を合わせた浩人の目の周りを囲む青あざを、俺はぐりぐりと親指で押してやった。

< 59 / 166 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop