Hair cuts
さくらと二人きりで遊ぶことになったのは、お盆も過ぎてからだった。どこへ行こうか散々考えた末、俺の家に呼ぶことにした。その日は両親がでかけることになっていたし、外で遊ぶより、じっくりと話をしたいと思ったからだ。

なにせ、俺はさくらのことをほとんど知らないし、多分、さくらも俺のことをあまり知らない。それに、ぶっちゃけ、少しは下心もあった。

最後に浩人に女を寝取られたとき、俺は自分の中で決めた事がある。

浩人の言う通り、俺たちは好きになる女の子のタイプが似ていた。色白で、控えめで、清楚な外見で、時折、陰の部分が見え隠れする守ってあげたくなるような子。

まさに愛華だ。

実は入学式で愛華を見たとき、俺も、あの子いいなと思った。けど、予想通り浩人も目を付けていて、だからやめておいた。

つまり俺は、浩人の好きなタイプの女の子と間逆の女の子に恋をしようと決めたのだのだ。もう二度と傷つかなくてもいいように。

そのうちの一つが色白の女の子を好きにならないことだった。色白は、浩人が絶対に譲れない条件だから。それから、これは俺の勝手な予想だけど、家庭環境が良い子も浩人のタイプではない。色白で家庭環境がちょっと複雑な女の子は浩人のストライクゾーン入っている可能性が高い。

さくらは見事その条件をクリアしている。色黒で、普通の家庭に育った女の子。さくらと付き合うのを決めたのはそういうこともあった。安全牌。浩人が好きになるはずのない相手。
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