Hair cuts
来年も、再来年も、ずっと一緒にいよう。そう言いたい気持を抑えて、俺はさくらの肩を抱いた。さくらのからだはまだ火照っていて、甘酸っぱい汗の匂いがした。俺たちは花火が終わるまでそうしていた。

「さくらぁ」

「なぁに?」

「いや、なんでもない」

「ふふ。変な遊里」

シーツの下でしっかりと手を繋ぐ。足を絡めあう。視線を交わす。

さくらぁ

なぁに?

ようやく一つになれたのに、通じ合えたのに、また、ばらばらになるのが恐くて、互いの体のどこかに触れていなければ不安だと感じていたのは、おれだけだったのだろうか?

さくらぁ

さくらぁ

溢れる愛しさを止めることができず、俺は甘えん坊の子共みたいに、何度も何度もさくらの名前を呼んだ。
< 67 / 166 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop