Hair cuts
放課後、俺たちは時間の許す限り四人で過ごす。居残って課題の練習をする日もあれば、ファーストフード店でだべったり、カラオケに行ったり、ただ街をぶらぶらする日もある。そうこうしているうちに遊里のバイトの時間がきて、さくらは電車に乗って帰っていく。

さくらは英会話教室とピアノを習っていて、それは木曜日と金曜日で、その日は「hair cuts」の集いに参加したりしなかったりする。土日は四人で遊ぶか、遊里がバイトかのどちらかだ。

俺たちに嘘ついて実はさくらと会ってたりして。そう思って遊里のバイト先を覗きにいくと、遊里はきちんと働いているのだ。しましまの制服を着て、赤髪をスプレーで染めて。

hair cuts

我ながら、まじ、だせぇ。でも、そのだささが逆にいい。

ウィーアーヘアカッツ!

ダサすぎて痺れる。愛華がこれを気に入っていて、何回言っても受けてくれる。だから俺は会話が途切れて間が持たなくなれば、とりあえずそう叫ぶ。

ウィーアーヘアカッツ!

さくらと遊里はうんざりしてるみたいだけど、愛華だけは喜んでくれる。愛華も俺と同じ。バカで単純。

つまりそういうことだ。俺たち四人の分かれ道。俺と愛華はマジでバカだけど、あいつらはバカじゃない。

遊里とさくらが帰った後も、俺と愛華は一緒だ。愛華の家へ行きそのまま泊まることもあるけど、たいがいは俺の家で過ごす。愛華がいると親父の機嫌がいい。親父の機嫌がいいと俺も嬉しい。
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