Hair cuts

愛華十八歳・冬

浩人と遊里が遊びに来た。昼前に来て、雪片付けを手伝ってくれた。あたしんちは二階建てのそう大きくない一軒家なのだけれど、庭だけは広く雪片付けには骨が折れる。

おじいちゃんが元気だった頃はまだよかった。おじいちゃんが除雪機で雪を飛ばして、おばあちゃんとあたしがスノーダンプで融雪溝に落とし三人がかりでやっつけた。大変な作業だったけれど、三人で力を合せて雪を片付けたときの達成感はすがすがしく、その後揃って食べる甘いおやつは疲れた体を癒してくれた。

でも、今おじいちゃんは病気で寝たきりで、おばあちゃんも年をとってしまったから、ここ最近は門から玄関までの距離をあたし一人で雪かきしていた。豪雪の年は、雪が一階の窓を覆い、太陽の光を遮って、昼間でも電気をつけなくては生活できない。薄暗い中での生活はあたしたち家族の心まで陰鬱にさせた。

けれども、今年は浩人が手伝ってくれるから助かる。その上、遊里まで来てくれて本当に感謝している。仲間って、ありがたい。

ここ数年使っていない除雪機は調子が悪く、三人でスノーダンプとスコップを使い、何度も融雪溝を往復した。その間にも、浩人と遊里は雪合戦をしたり、雪だるまを作ったりして、まるで子供のようにはしゃいだ。浩人と遊里は幼馴染で本当に仲がいい。羨ましい。

「風邪ひいちゃうよぉ」

雪まみれの二人を心配し、おばあちゃんが何度も暖かいお茶を入れてくれて、手作りのおはぎまで作ってくれた。おばあちゃんのおはぎは久しぶりで、浩人と遊里も喜んでくれたけれど、あたしは、昔よりおばあちゃんのおはぎの味おちたことに気づいて少し悲しかった。やっぱり、年なのだろう。
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