Hair cuts
雪片づけが済むと、おばあちゃんがお風呂をわかしてくれた。浩人がお風呂に入っている間、残されたあたしと遊里は降り続ける真っ白な雪と灰色の空を部屋の窓から眺めながら、ぽつりぽつりと会話した。遊里と二人きりで話すことなんてあまりないので、少し緊張した。遊里も居心地が悪そうだった。

「さくらとうまくいってるの?」

「普通だよ」

「そっか」

「そっちこそ」

「あたしたちはいつもラブラブ」

「ですよね。浩人のことよろしくな」

こんな当たり障りのない会話はすぐに途切れる。そして間ができて、その間を繋ぐためにまた当たり障りのない会話をどちらかが始める。その繰り返し。幾度目かの間の後、遊里がこんな質問をした。

「愛華はどうして美容師になろうと思ったの?」

それであたしはこう答えた。

「昔から、手先は器用なほうだったんだ。編み物や裁縫も得意だったし、お母さんがいなかったから、髪の毛だって自分で三つ編みや編みこみしていたんだよ。おばあちゃんの白髪染めもよく手伝っていたし」

遊里は、髪の毛いじるのが好きなんだなと納得してくれた。
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