本当の俺を愛してくれないか?
市川さん曰く、小林さんはいつもお酒が入るとこうやって酔い潰れてしまうことが度々あるらしく。
彼女は小林さんから鞄の中の鍵のしまい場所を聞かされているとのことだった。
最初は勝手に鍵を開けて部屋に入るなんてこと、出来ないと思っていたけど今の小林さんを見ていたら、そうも言っていられない。
「確か...」
内ポケットの奥にあるって言っていたな。
しゃがみ込み、言われた場所に手を入れる。
...が。
「ない...」
嘘だろ?
慌ててもう一度よく手を入れるが、鍵らしき感触はなく。
違う場所か。と思い、鞄の中をくまなく探すがやっぱり見つからず。
「マジかよ...」
サーっと血の気が引くとはまさにこのこと。
どうするんだよ。
しばし放心状態だったがふと思い出し、まだきっと二次会中であろう部下に電話を掛ける。
「...くそっ!出ない」
一旦切り、違う部下にかけるが出ず。知っている部下に次々と電話をかけるが、誰一人として出ることはなかった。
「...勘弁してくれよ」
どうしたらいいんだよ。鍵なきゃ入れないだろ。
「小林さん、起きて」
最後の願いを込めて小林さんを揺するものの、やっぱり小林さんは起きるはずもなく。
「...さて、どうしたものか」
ーーーーーーー
ーーーー
最上翔太
29歳を目前にしたいい大人の男が、部下の女の子を抱きながら夜空の下、途方に暮れていた。
彼女は小林さんから鞄の中の鍵のしまい場所を聞かされているとのことだった。
最初は勝手に鍵を開けて部屋に入るなんてこと、出来ないと思っていたけど今の小林さんを見ていたら、そうも言っていられない。
「確か...」
内ポケットの奥にあるって言っていたな。
しゃがみ込み、言われた場所に手を入れる。
...が。
「ない...」
嘘だろ?
慌ててもう一度よく手を入れるが、鍵らしき感触はなく。
違う場所か。と思い、鞄の中をくまなく探すがやっぱり見つからず。
「マジかよ...」
サーっと血の気が引くとはまさにこのこと。
どうするんだよ。
しばし放心状態だったがふと思い出し、まだきっと二次会中であろう部下に電話を掛ける。
「...くそっ!出ない」
一旦切り、違う部下にかけるが出ず。知っている部下に次々と電話をかけるが、誰一人として出ることはなかった。
「...勘弁してくれよ」
どうしたらいいんだよ。鍵なきゃ入れないだろ。
「小林さん、起きて」
最後の願いを込めて小林さんを揺するものの、やっぱり小林さんは起きるはずもなく。
「...さて、どうしたものか」
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最上翔太
29歳を目前にしたいい大人の男が、部下の女の子を抱きながら夜空の下、途方に暮れていた。