本当の俺を愛してくれないか?
今回もだめだった、か。
けっこう自信あったんだけどな。


仕事を任されるようになってから、みんなと同じように新商品の企画をあげられるようになった。

それは待ちに待った仕事で。

入社前から思い描いてきたものを次々と企画としてあげるものの、いまだ採用されたことはなく。

私の夢は、子供の頃沢山のときめきやわくわくをくれた食玩お菓子を、自分の手で世の中に送り出すこと。

私と同じように今の子供達をわくわくさせたいのにな。
あの集めたくなる気持ちを味わって欲しいのに...。
なかなか現実はうまくいかない。


漫画やドラマみたいに、恋愛も仕事もって欲張りじゃないんだから、せめて仕事くらいはうまくいって欲しいって思っちゃう。


「ひーろみ!ドンマイ」


そう言いながら励ますように明るく肩を叩いてくれたのは咲花で。


「...ありがとう」


今回はかなり自信を持って提出したことを咲花は知っている。


「今日は金曜日だし。パーっと女二人で飲んじゃおっか!」


「賛成!」


やっぱり前言撤回!
恋愛も仕事もうまくいっていないけど、私には友情があった。
咲花だって私と同じように頑張って企画書を出したけどダメだったのに、それでもこんな風に励ましてくれる。
社会人になって出来た友達。こんな素敵な友達と巡り会うことが出来て、私は幸せ者だなって思う。


もう深く考えるのはやめよう。
まだ20代になったばかり。なにもかもうまくいかなくて当たり前じゃない?
今はまだそういう時期。
最上部長だっていつかは結婚する。そうしたら私の気持ちなんてきっと消えてくれるだろうし、頑張っていればいつか夢は叶うと思うし!
今はまだ私のペースで頑張ればいいよね。

よし!!恋愛も仕事も、私のペースで頑張ろう!


...頑張ろう。そう思っていたんだけどな。


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「んー...うるさい」


どこからか聞こえてくる目覚まし時計の音で目が覚める。


咄嗟に布団の中から手を伸ばし、時計を探すものの見つからず。

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