本当の俺を愛してくれないか?
菜々子だけだったんだ。

...こんな俺を受け入れてくれるような人なんかいないだろう。

だから女々しく忘れられない。
彼女を越える女がいないから。菜々子以外いないから...。


「小森にも早くそう思える人が現れるといいな?」


「...はい」


パソコンに打ち込みを始めると小森はそれ以上何も話すことなく自分のデスクへと戻って行った。


ずっと気付いていたことだった。
だけど、気付かないふりしていた。


菜々子には好きな人がいて。昔みたいに一緒に暮らしていなくて。
一番近くにはいなくて...。


そんな理由を並べれば沢山あって、忘れなくちゃいけない要素が沢山ある。


でも俺は、菜々子が好きなんだ。


30過ぎても失恋したって言うのに、女々しく忘れられないんだ。

忘れたいのに、忘れられないんだ..。


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