本当の俺を愛してくれないか？
「そんなこと言うものじゃないよ。...小林さんだって魅力的だよ」


「...ッ！」


小森さんっていつも冗談でそんな言葉ばかりを言っているのを知っているのに、なんで私ってば受け流すことができないんだろう。


「戻ろう。休憩が終わっちゃう」


「...はい」


それ以上小森さんは何も言ってくることはなくて。
会話なく会社へと戻った。

ギリギリに戻ったから咲花に話すことが出来なくて。早く仕事が終わることを願うばかりだった。

胸の中がざわざわとうるさくて。誰かに聞いてほしくて。

私が好きなのは最上部長なのに。

でも、なんでだろう。

なんでさっきから私の胸は以上なくらいどきどきしているんだろう。

その答えを早く咲花に聞いてほしくて堪らなかった。


ーーーーーーーー

ーーー


「えぇー！！小森さんにそんなこと言われたの！？」


「うっ、うん...」


午後は全く仕事に集中できなくて。明日に残して定時であがり咲花と会社から少し離れた居酒屋へと来ていた。

そしてすぐに今日の出来事を全て話した。


「うぅーん...。ごめん、なんかあまりにあり得ない展開に頭がついていけなくて...」


そう言いながらビールを飲む咲花。


「そりゃそうだよ。私だってまだ混乱しているんだから...」


一気に話したせいか、いつもより喉の乾きが早くて私も注文した烏龍茶を口に含む。


「でもさ、どうするの？なんか聞いてると小森さん、宏美のこと本気みたいじゃない？」


「...やっぱり咲花もそう思う？」
< 37 / 86 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop