本当の俺を愛してくれないか?
廊下の壁に寄り掛かりながら待っていたのは小林さんだった。


俺を見るとすぐこっちに駆け寄ってきた。


「良かったです。直りましたね」


そう言って無邪気な笑顔を見せる小林さん。


「あっ、あぁ。これありがとう」


動揺しながらもさっき借りた寝癖直しを返す。


「いえいえ。役に立ててよかったです」


ちょっと待て。これはどう見てもあれ、だよな?


「...もしかして待っていてくれたのか?」


そうとしか思えない。


「はい!その方がいいと思いまして!」


「えっ?」


なんの迷いもなく即答する小林さんをつい見つめてしまった。


「私が飲み会の時の謝罪をしていたら遅くなってしまったってことにすればいいかなって...」


小林さん...。


「あの、本当にこの前はすみませんでした。...大迷惑を掛けてしまって」


そう言うと小林さんは俺に深々と頭を下げる。


「いや、俺の方こそ...。勝手に泊めたりその、色々と悪かった」


その瞬間、あの時の情事がフラッシュバックしつい恥ずかしくなってしまい、小林さんから視線を反らしてしまった。



「いいえ!悪いのは私ですから...。それで、その。彼女さんとは大丈夫でしたか?」


「えっ?」


彼女?
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