本当の俺を愛してくれないか？

私は？

「ねーねー、宏美ちゃん。俺お酒の美味しい居酒屋見つけたんだけど、今夜一緒に行かない？」


足早に歩いていると言うのに、そんな私に笑顔でついて回る小森さん。


「残念ですけど今夜は友達と予定が入っていますので」


笑顔で話しているつもりだけど、どうしても引きつってしまっているに違いない私の顔。
最近は嫌味らしくわざと引きつらせているって言うのに、全く動じない小森さんの対処法に悩まされている日々。


「えー、前もそんなこと言ってなかった？じゃあ来週の週末は？」


最近毎週恒例になってしまっている小森さん攻撃に、ついに足が止まる。


「あれ？どうしたの、宏美ちゃん」


急に立ち止まった私の元へと戻ってきた小森さんに、私はとびっきりの笑顔で言った。


「残念ですけど、来週も再来週もそのあともずーっと！！空いてませんから！」


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「もー！絶対あれ、面白がっているとしか思えない！」


一気に流し込んだサワージョッキを思いっきり机に置いてしまい、テーブルに並べられていたお皿達がガシャンと音を立てる。


「ちょっ、ちょっと宏美ここは家じゃないんだからね！」


お母さんのようにこぼれてしまったつまみを片付ける咲花。


「分かってるわよ。...だけどこれが落ち着いてなんていられないわよ」


「まぁねー。小森さんの宏美好き好き攻撃は目に余るものがあるわよねー」


「好き好きって...。いや、あれはもう単に私の反応を見て楽しんでいるようにしか見えないんだけど」