本当の俺を愛してくれないか?
「俺さ、時々思うんだ。もしもっと早く..例えば学生時代に菜々子への気持ちに気付いていたら違う未来があったんじゃないかって。...気付くのが遅すぎたんじゃないかって」


「翔太...」


最上部長...。


その言葉で...分かってしまった。
最上部長にはラブラブな彼女なんていなくて。
毎日あんなに美味しそうなお弁当を作ってくれていたのは彼女じゃなくて、最上部長で。
以前、偶然雑貨屋で会ったのも彼女へのプレゼントを選びに来たわけじゃなくて、ただ私みたいに買い物に来ていたんだ。
さっきの話を聞いて考えるとすべて納得出来て。

...そして最上部長はずっと菜々子さんが好きで忘れられなくて..。
だから私がいつも質問しても曖昧にはぐらかされていた?
それより私ってばいつも何気なく聞いちゃっていたこど、本当はかなり最上部長の心の傷をえぐるようなことを聞いちゃってたわよね!?



「菜々子以上に俺を受け入れてくれる女なんていないよ。...会社ではカッコつけてて。普段の俺を知っても、受け入れてくれる女なんているはずない」


えっ...。な、にそれ。
なんでそんな風に思っちゃうの?

だって最上部長は最上部長じゃない。


今まで最上部長と過ごした場面が頭にプレイバックして。


「ここにいます!!」


気付いた時には、私は自ら姿を見せていて。そしてとんでもないことを口走ってしまっていた。


「えっ...小林さん?」


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