本当の俺を愛してくれないか?
「私、誘ってもいいのかな?最上部長のこと。生意気じゃない?」


七歳も年下の小娘が誘ったりなんかして。


「いいに決まってるし、生意気なんかじゃないわよ!よし!そうと決まれば善は急げよ!帰りに本屋へ寄ってさっさと作戦練らなきゃ。今日は泊まらせてもらうからね」


「...うん!」


クリスマスなんて独り身の私には関係ないイベントだと思っていたけど、もしかしたら最上部長と一緒に過ごせるかもしれないなんて...。

どうしよう。もし本当に誘ってOKもらえちゃったら。
最上部長とクリスマスを過ごせることになっちゃったらどうしよう...。



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「あっれ~?なに?俺とのクリスマスデートプラン考えてくれているの?」


「あっ、ちょっと小森さん!それ返して下さい!」


就業開始時間前、早速昨日買った雑誌を見ていたら急に来た小森さんにうっかり雑誌を取られてしまった。


「口では散々断ってたくせに、こっそり準備してくれてたの?」


雑誌を取り返したいのに、背の高い小森さんから奪うなんてこと出来るはずもなく。

端から見たら遊ばれている状態なのか、周りは私達を見てくすくすと笑っている。


「そっ、そんなわけないじゃないですか!」


「えっ?」


一瞬の隙に小森さんから雑誌を奪う。

「ちょっと宏美ちゃん、それってどういう意味?」


あっ、やばい。
これじゃクリスマスの日に誰かとデートするのバレバレじゃない。



「なに?俺がどんなに誘ってもOKしてくれなかったのに、誰かとデートするの?」


いつもとは違い、真剣な表情の小森さん。


「...ちょっとこっち」


「えっ?こっ、小森さん!?」


みんなが注目している中、小森さんに連れてこられたのは誰もいない会議室。
中に入るとやっと掴まれていた腕を離してくれた。

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